月末月初の請求書の処理漏れ問題をどう解決するか?

請求書は各社からバラバラに送られてくる、書式も送付先もバラバラで統一できない、個人でローカルに保存して漏れが出てしまう、メールが多すぎて埋もれてしまう、どこに保存したかわからなくなった・・・請求書管理に関する悩みは尽きません。

専用ツールを利用するなど請求書管理のデジタル化が進みつつありますが、取引先にお願いして送付先を変えてもらう、既存の慣れた業務フローを変えてもらう必要が発生することも多いため、業務の変革に消極的な企業は少なくありません。実際は、従来のやり方のまま仕方なく対応しているケースの方がほとんどです。

請求書受領ツールBillOneを手がけるSansan株式会社の「請求書に関する実態調査2021」によると、請求書処理による出社が必要な人は経理担当者の83.7%にのぼり、コロナ禍でもテレワークが中々進まない状況が続いています。その要因としては、受領する請求書の90.2%が紙であり、手作業をしないと処理ができない業務形態にあります。月に処理する請求書の数は平均96.1枚となっているため、忙しくて作業をデジタル化するための余裕もない状況です。

1.請求書管理の課題

請求書管理についての主な4つの課題を解説します。

1-1.請求書処理の業務工程が多い

自社で請求書を作成する場合、請求書への入力作業が完了したら、印刷の上押印、封筒に封入して切手を貼付し、集荷の手配もしくは近所のポストや郵便局などで投函といった流れになります。請求書を一通送るだけでもかなりの工程を処理しなくてはなりません。

また、請求書を受領する場合、他の部署との連携も加わります。請求書を受領したら内容確認の上、支払い依頼書を経理部へ送り、取引の起票をおこないます。財務部で支払い承認を受けた後、再び経理部にて支払い処理と請求書の保管を実施します。処理プロセスに書類と捺印による承認作業が必要な場合、支払いまでにかなりの時間を要することになります。

1-2.請求書管理が手間

法人の場合、請求書は事業年度の確定申告期限の翌日から7年間保管をする必要があります。自社で請求書を作成する際は、相手先に送付した請求書の控えを自社で保管するのですが、まずは未入金の請求書と入金済みの請求書とに分け、入金が完了したものを随時確認、承認しながら保管への移動をしなくてはなりません。

他社から受領する請求書の場合、書式も送付方法も異なり、紙で来たりデータで来たりなどバラバラです。こちらも未払いと支払い済みに分けて保管し、支払いが完了したものから随時移動をおこないます。毎日処理される膨大な請求書を手作業で処理するのは大変な手間になりますし、エクセルなどで管理をしていても、数年分の請求書データが保管されていれば、データが重くなり処理速度が落ちていってしまいます。

1-3.制度改正で業務量増加

令和5年(2023年)10月より運用が開始される制度にインボイス制度がありますが、この制度が始まることで請求書の処理業務の量が大幅に増加することが懸念されています。インボイス制度とは、請求書の記載事項を定めたものです。現行では区分記載事項請求書という規則がありますが、新たな制度では記載事項が追加されたため、企業は書式変更などの対応をする必要があります。

新たなインボイスを発行することで消費税の仕入れ額控除などを受けることができるようになるため、記載内容の慎重な確認などで業務量が増えることが予想されます。また、インボイス発行は登録制のため、取引の際は取引相手がインボイスを発行できる事業者かを確認しなければなりません。制度運用が開始されることで、既存の業務に加えて確認作業が増加することになります。

1-4.リモートワークの対象外

コロナ禍では出社せずに仕事をするためのリモートワークが国からも推奨され注目を集めましたが、請求書を扱う業務に携わる場合、リモートで業務を遂行することができません。理由としては、請求書のほとんどは紙でのやり取りになるため、会社に出社しなければ確認作業ができないからです。

また、請求書の発行には会社印の押印が必要になります。会社印を持ち出すことはリスクにもなりますから、やはり出社しなければ作業を進めることができません。会社によっては請求書の発行や受け取った請求書の処理をおこなう部署が複数に渡ることも多く、請求書業務がある部署の場合、リモートワークの対象外となってしまうのです。多くの書類が電子化されている現代において、書類が紙だから出社しなければならないという時代と逆行した状況となっています。

2.請求書の受け取り問題はツールで解決

請求書の課題を解決するには専門のツールを導入するのがおすすめです。

2-1.いつでもどこでも請求書の受領が可能

請求書受け取りのツールを導入すると、処理をクラウド上でおこなえるようになるため、出社をしなくても請求書を受け取り処理できるようになります。請求書をデータ化して管理すれば、処理をした請求書の仕分けや会計ツールへの入力が必要なくなるため、作業を効率化することにもつながります。

また、紙で受け取る請求書を文字変換してくれる機能があれば、情報を手で入力する必要がありませんし、データ保管していれば検索も容易なため請求書と進捗の照合をする際も業務の負担を減らすことができます。請求書業務で出社を余儀なくされていた方も、テレワークでフレックスな働き方を実現できることでしょう。

2-2.請求書の受領は業者で代行

サービスによっては会社に送付される請求書全てを業者が代行して受け取り、保管のための処理や管理までしてくれるケースもあります。封筒で受け取った請求書の開封からデータのアップロード、請求書原本の保管まで代行できるため、自分たちで請求書を処理する作業を一手に引き受けてもらえます。

月の業務の半分近くを請求書処理に取られている従業員の方も中にはいらっしゃいますから、大幅な業務効率化を実現することができるはずです。請求書処理に使っていた時間を別の業務に当てることが可能になるため、企業としての生産性も向上します。

2-3.請求書処理の進捗を一元管理

請求書処理専用のツールを導入すれば、手続きの進捗を一元管理できるため、処理漏れの課題をツールひとつで解決できるようになります。人による手作業で請求書の管理をおこなうと、請求書作成の忘れや投函の忘れ、担当者の連絡漏れなどで請求書の存在すら膨大な作業の中に埋もれてしまうことがあります。ツールがあれば請求書それぞれの進捗状況を一つの画面で管理できるため、処理漏れの心配がありません。

また、未処理や処理済みなどの状況確認もひと目で分かる機能もほとんどのツールに搭載されているため、誤入金を回避するのにも役立ちます。

2-4.他ツールとの連携で業務効率化を推進

請求書の発行は営業部、経理部、財務部など複数の部署を横断して手続きが進められるため、担当者同士の連携が欠かせません。人同士のやり取りであれば忙しさから処理漏れなどのエラーが発生しますが、請求書ツールと他のツールを連携させることで、入力作業などを一度に済ますことができます。

また、ツール上で連携が取れるため、一方は依頼したけどもう一方が入力を忘れたといった小さな連携ミスをツールがカバーしてくれるようになります。小さなミスの積み重ねが重大な問題を引き起こすこともあるため、ツールを利用して、些細な漏れも見逃さないような体制を構築することが大切です。

3.代表的なツール

請求書処理を効率化できる代表的なツールをご紹介します。

TOKIUM

1つ目のツールは株式会社TOKIUMが運営しているTOKIUMインボイスです。請求書の受領代行サービス付き、2023年から施行されるインボイス制度にも対応しており、完全なペーパーレス業務への変革が可能です。累計の導入件数は1,000件を超えており、多くの企業の信頼を獲得し実績を積み上げているツールでもあります。

機能としては請求書の受領代行及びスキャン、国税関係の書類の保管、多くの会計ソフトとの連携、過去履歴から自動で仕訳を判断する機能などがあります。初期費用+月額1万円〜+請求書件数による費用でツールの利用をスタートできます。

BtoBプラットフォーム請求書

続いてのツールは株式会社インフォマートが手がけているBtoBプラットフォーム請求書です。請求書の発行だけでなく、受け取る請求書の管理や支払い金額の通知機能がついた、請求書業務全般を担うツールです。利用企業数は79万社を超えており、150万人以上の担当者が利用しています。

請求書の受取と発行の両者の管理ができるため、受取側としては決算業務の効率化や承認フローの短縮、支払い通知書の一括送信が可能となり、発行側としては発行業務のコスト削減や取引先の状況確認、入金や督促などの進捗も一元管理ができるようになります。費用は初期費用10万円〜、月額利用料2万円〜となっています。

BillOne

名刺管理でおなじみのSansan株式会社が手がける請求書管理ツールBillOneです。担当部署に届くあらゆる形の請求書をデータで一括管理し、会社全体の請求書業務を効率化することで、決算業務のスピード化をはかります。大手企業を中心に利用顧客を増やしており、請求書受領サービスの市場においてマーケットシェアNo.1のサービスでもあります。

請求書発行企業には今まで通りに請求書を送付してもらい、BillOneがワンストップで受領業務をおこないます。99.9%の精度でデータ化してクラウド管理をおこなうため、他部署とのスムーズな連携が可能です。従業員数100名以下で請求書受領100枚/月までなら初期費用・月額料金が無料です。

invox受取請求書

invox受取請求書は株式会社Deepworkが手がける請求書管理サービスです。手のかかる受領請求書の入力作業を自動化してくれる効率化機能が搭載されています。シリーズ累計5,000社以上が利用しており、中には作業時間の80%削減に成功した事例もあります。

請求書は全てデータ化され経理に計上業務を自動化するため、担当者は請求書処理を確認するだけの作業で済むようになります。初期費用ゼロ、月額料金980円〜、データ処理料金1件あたり50円〜の低価格設定となっています。

バクラク請求書

バクラク請求書は株式会社LayerXが提供する請求書管理サービスです。経理担当者に寄り添った使い勝手を提供し、2023年10月より運用が開始されるインボイス制度にも対応した機能を揃えています。シリーズ累計導入社数は2,000社で、リピート率99%以上で信頼性の高いサービスを提供しています。

形式の違う請求書も管理可能で、複数同時アップロードができるため、担当者の手を煩わせることはありません。支払い漏れや無駄な確認作業を回避できます。初期費用は無料で月額2万円から業務効率化が可能です。

sweeep

最後のツールはsweeep株式会社が運営する請求書管理サービスであるsweeepです。紙で届いた請求書もスマホで簡単にアップロードでき、AIが処理業務を代行してくれます。専用システムで社内にバラバラに保管されていた資料も一元管理できますし、オンラインで一発検索が可能なためどこにいても資料の確認ができます。

請求書業務の担当者には難しいとされていたリモートワークも実現できるはずです。月額3,000円から利用可能です。

カンタン!Uploader for Gmail

実績のある請求書管理ツールをご紹介しましたが、実はそんな大げさな業務フロー改善ではなく、ちょっとしたことで業務効率が大幅に改善するのが現場の実態というものです。

現状の請求書の処理漏れや処理量増加などに課題を感じている場合、請求書の対応工数削減や作業漏れ防止に繋がるカンタン!Uploader for Gmailがおすすめです。Gmailに届いた請求書の添付ファイルを自動的に保存する機能が搭載されていますが、それだけですがそれが良いと評判です。自社完結型で手軽に誰でも使えますし、設定した翌日から1時間かかっていた請求書対応業務が5分に短縮されるため、業務効率化をすぐに実感できるはずです。