ベンチャー企業の挑戦:カオスな経理事情

会社を創業したばかりのバックオフィス業務は、経理に限らずとても大変で混沌としているという話はよく聞きますし、相談をいただくこともしばしばです。

まさにそんな状況にいるとある友人から最近派遣として勤務した会社の話を聞きました。

派遣先は少人数のベンチャー企業。創業して5年ほどで、業務拡大中につき自身が採用されたという経緯だそうです。経理業務に携わっていた経験はあるが、一人で経理業務をまわしたこともない人間がこの会社の経理専任として配属されたといいます。

前任の経理担当はいるのか?と質問すると、経理の専任はいなかったという。

では、誰がそれらの業務を行っていたのか?営業やマーケティング担当の者が二足の草鞋を履く状態でやってきていたという。特に専門的な業務の部分は、社労士さんや税理士さんへお願いしているというが、社員給与振り込みや、請求書関連、経費精算などの業務は、派遣で勤務している自身が行っているという。

それまでは、先に話した経理専任でない営業やマーケティングなどの人物が自分で自分の給与計算、振り込みなどを行っていたという状況でした。

その話を聞いて、驚愕しましたが、みなさんはどう感じるでしょうか。

さすがにこのままでは良くないと思い、専任の人間を雇用しようと考え派遣で人材を確保するという方法を選んだようですが、専任の経理担当がいない中で派遣で勤務することになった友人はとても困っていました。

それはそうでしょう・・・と容易に察しがつきます。

会社にとって経理部門の業務は非常に大切なのです。

経理業務が企業にとって非常に重要な理由はいくつかあります。以下に、そのポイントをいくつか挙げてみましょう。

財務管理と透明性::

経理業務は企業の財務状況を管理し、透明性を確保するための重要な手段です。正確な帳簿管理と財務報告は、経営陣や株主、投資家などの利害関係者に対して企業の財務状況を明確に伝える役割を果たします。

予算策定と資金調達:

経理業務は、予算の策定や資金調達に不可欠です。適切な予算の立案と実行、そして財務状況の把握は、企業の成長と安定した運営に欠かせません。

法的および規制要件の遵守:

経理業務は、企業が法的および規制上の要件を遵守するための基盤を提供します。税務法や会計基準などの規制要件に準拠するためには、正確な帳簿管理や財務報告が必要です。

意思決定の補助:

経理業務は、経営陣や意思決定者が戦略的な決定を行う際に必要な情報を提供します。財務データや予算の分析を通じて、企業の将来の方向性や戦略を検討するための重要な手がかりを提供します。

リスク管理:

経理業務は、企業が直面するリスクを識別し、管理するための重要な機能を果たします。財務データの分析を通じて、財務リスクや市場リスクなどのリスク要因を把握し、適切な対策を講じることができます。

これらは経理業務が企業にとってなぜ重要なのかを示す一部のポイントですが、実際にはさらに多くの側面があります。経理業務が効果的に遂行されることは、企業の持続可能な成長と成功に不可欠です。

このように経理の業務がいかに大きな役割を果たしているかは、みなさんもお分かりのことでしょう。

自社で経理業務に精通した人材を確保するのは容易ではありません。採用がなかなかうまくいかず採用が難航することもしばしばです。

ベンチャー企業さんやスタートアップ企業さんだけではなく、これはどの企業にも言える現状ではないでしょうか。

自社で解決することをまずは考えるかもしれませんが、解決できないから「今の状況」になっているのです。苦手な領域はぜひ一歩踏み出してアウトソースしてはいかがかなと思います。

参考まで、ベンチャー企業がバックオフィス業務をアウトソース(業務委託・外注)する際の注意点を解説したこちらの記事も併せてご覧ください。