経理業務アウトソースの落とし穴~失敗しないための注意点をご紹介~

経理業務やバックオフィスの事務作業をアウトソースすることのメリットについて、これまで別のブログ記事でもご紹介してきましたが、今回は一連の業務を外部へアウトソースすることによって生じる注意すべき事項についてご紹介していきたいと思います。

コストの観点(業務委託費と正社員の販管費)

まず、コストについて。社内で行っている業務をアウトソーシングするということは、当然ですが、初期投資や契約料、サービス料などの費用がかかります。

過去のブログでも触れていますが、自社で業務を行う場合と比較して、一見すると、外部に委託する方が、高額に感じる場合もあるかもしれませんが、自社で行っている場合は決して無料ではなく、社員の人件費と時間がかかっていることをお忘れなく。

それを踏まえた上で、どういった業務を依頼するのか、また、その依頼業務に適した費用であるかどうかなど、委託先の会社の選定をしっかり検討しなくてはなりません。

過去の参考ブログ記事:経理業務を委託・外注する際の注意点

コミュニケーションの観点

社内間でもあることですが、コミュニケーションにおいて、伝達連携がうまくいかないと業務の質を保つことが難しくなる場合があります。外部企業とのコミュニケーション問題において、認識の違いやズレが起こることはよくあるケースですので、共通認識をしっかりと持ち、ポイントごとに認識の確認を行う必要があるのではないでしょうか。小さなズレも早い段階で対処できていればすぐ解決したものの、小さなズレがどんどん大きくなり、結果的にとても大変なことになってしまったといったこともあります。

また、業務を外部に委託することで、その業務に対する自社の管理機能が低くなってしまい、自社では判断できない(「委託先に連絡します。」だけになる)といったことが起こる可能性があります。

委託先としっかり連携し、業務の進捗状況や品質を互いに共有し、定期的なコミュニケーションを取っていくことができれば、スムーズに業務が運ぶことができるでしょう。

適切な業務委託パートナー選定を

これらの注意点を踏まえて、経理、法務、事務業務をアウトソースする際には、自社のニーズやリソース、リスクなどを考慮した上で、適切なパートナーを選定することが重要ですね。

よく聞く話で、税理士さんや社労士さんに事務業務を一括してお願いしているというケースがあります。

税理士さんや社労士さんは、一般的に以下のような社内手続きをサポートしてくれることがありますが、業者や契約内容によって異なります。

税務申告書の作成・提出:

法人税や消費税などの税務申告書を作成し、税務署に提出する業務を行ったり、所得税や住民税の申告書も作成することがあります。

給与計算:

従業員の給与計算や源泉徴収の手続きを行います。給与明細の作成や社会保険の手続きなどもサポートすることがあります。

労働契約書の作成:

労働契約書の作成や労働法に基づく労働条件の相談に応じます。労働法や労働関連の規定についてアドバイスを提供します。

社会保険手続きの代行:

社会保険の加入手続きや保険料の計算、社会保険の申請手続きなどを代行することがあります。

労働問題の解決:

労働問題の解決や労働紛争の予防に向けた助言や支援を行います。労働法に関する相談やトラブルの解決に関与します。

ただし、税理士さんや社労士さんが提供するサービスは、基本的にはアドバイスや手続きの代行に限定されます。

そのため、法務や事務業務をアウトソースすることで、従業員はそれらの業務に関する経験や知識を獲得する機会を結果として失うことになります。これにより、社内での関連する業務の知識やスキルが不足していくでしょう。

また、外部委託された業務に関する詳細なプロセスや手順が社内に定着しない場合、社内の従業員はその業務に関する深い理解を持てなくなります。これによって、業務の効率性や品質に影響が出る可能性があります。

これらの課題を解決するためには、外部の委託先と積極的にナレッジ共有を行うここと、定期的にコミュニケーションをとることによって、業務に関する知識や情報を定期的に収集したり、認識の差異などがあれば小さいうちに修正していくなど、連携を両社で取っていくことが重要です。外部委託をすること自体は非常に有効であるため、ポイントをおさえて上手に活用していきたいですね。

また、単純にアウトソースすれば終わりということではなく、しっかりとコミュニケーションが取れる委託パートナー企業を見極めることが大切かもしれないですね。