新年度が始まって1ヶ月ほど経ちますね。新入社員の配属や部署異動など、新たな環境になった方も多いのではないでしょうか。
これまでの日本企業では、企画や経営に関連する業務を行うホワイトカラーと、いわゆる労働力のブルーカラーとして、それぞれ業務を担ってきていましたが、今ではそのブルーカラーの多くの業務がシステム化・ロボット化によって代替可能になっています。
たとえば、工場での検品、倉庫でのピッキング、さらには簡単なデータ入力や仕分け作業などをイメージしていただくと分かりやすいかと思いますが、これらの業務の大半はすでにロボットに置き換えられています。
ただ、最近はAIの発展によって同じことが、ホワイトカラーの職種にも起きています。今でも単純なデータ入力やメール自動返信、データ処理や分析など、これらの定型業務の多くは自動化されていますが、今後AI活用されていくとホワイトカラーの仕事の方が将来的には「1割人間、9割AI」へ変わっていくのではないかと考えています。
9割の業務はAIと外注に任せることができるので、企業としては、残る1割をAIや外注ができない業務、つまり本質的な意思決定・設計・調整を担える人材を育てていく必要があるのです。
この“1割の力”を担える社員を育てられるかどうかが、未来の組織の成長に直結するのではないでしょうか。4月に入ってきたばかりの新入社員は「直近の労働力」ではなく、「未来の1割」を担う存在ですね。
“1割の力”を担う社員にどんな役割を期待すべきか・・・
答えはシンプルです。
AIや外注を活用して成果をとりまとめ、判断する人材です。
特にバックオフィスにおいては、「業務の根幹」が何かを見極め、それ以外を外注やツールで効率化する視点が求められます。
たとえば経理であれば、単なる記帳や仕訳作業ではなく、経営数値をどう読み取り、どこに課題があるかを見極める力が重要です。そこに注力するために、ベースの作業はツールや外注に任せる。その判断が、企業の生産性と成長性を大きく左右します。
これまでご相談いただいたケースで、経理の現場がさまざまなことが滞っていて一度状況を見てほしいというお話がありました。内容を見させていただくと、帳簿を6ヶ月分ためてしまっていたり、毎月手作業で集計し、その度に計算式など変更されていたりといった状況でした。
こちらの業務整理に着手させていただいたのですが、3日間でこれまでたまっていたすべての帳簿を整理し、今後のスキームを作ったという事例もあります。
こうした成果は、多くのツールを熟知していたり様々なケースを拝見しているからこそ的確なフローをご提案できる経験値から成せる仕事ではないかと思っています。
外注やツールを賢く使いこなして、「人がやるべき仕事」に集中できる体制を整えること。その視点を持てば、業務改善も、社員育成も、そして会社の未来も、大きく変わっていきます。
先日、友人が家事代行をお願いしたところ、驚きの結果だったといいます。
2時間の依頼で行える掃除を依頼したそうですが、いざ2時間経過してみると、自分が掃除したら3倍の時間はかかると思える掃除量だったそうです。
最初は、お金を払って掃除を依頼するならば自分で頑張ればできるかもとは思っていたらしいですが、結局その気持ちはあるもの何もしないまま数か月の時が過ぎるという・・・
これはもう自分では無理だと判断し、家事代行に頼んでみたら、あまりの素晴らしい仕事っぷりにお支払いした価値以上で大満足だったそうです。
話を元に戻しましょう。身近なお掃除もバックオフィスも経理の業務も同じことが言えるのではないでしょうか。例え同じ作業時間だとしても、自分で行う時間と専任のプロが行う時間は、作業結果が大きく違うのです。
もう社内にすべて抱える時代ではないです。経験と知識をもった外部の力を活用することで、プロが短期間で整理・改善できます。
自社の力だけで抱え込まず、最適な外部資源を活かすという考え方が、これからの企業にとって自然な選択肢のひとつになっていくのではないでしょうか。それこそが“1割の力”を担える人材を育てられる環境整備の一歩に近づくはずだと思います。