経理人材の求人募集から見た企業の勘違い

有能な人材を採用したいのはどこの企業も同じです。今や採用は経営のコア中のコアであり、事業戦略に基づいた活動が求められます。
今回は、そんな求人募集活動の中から、経理人材の求人募集から見た企業の勘違いについて紹介していきます。

■勘違いしている企業にありがちなNG求人の特徴

●経理の業務内容を理解していない

経理の採用に当たり、管理職・社長自身でさえ、経理の役割や職務内容を理解できていないことがあります。
以下にその例を解説していきます。

・財務と経理の違いがわからない

経理とは「経営管理」の略であり、お金の流れを把握していくための作業が基本的な業務内容です。

対して財務は資金の運用や予算管理が仕事になります。資金調達のためのネゴシエーションや売上予測・原価予測といった予算管理のための管理作業になります。

どちらも会社のお金を扱っているので同じに見えますが、
扱っているお金の種類が異なるのです。

勘違いしている企業の求人には、よく下記のような文言が見受けられます。

・経理・財務等の専門性の高い能力
・管理会計の仕組みの改善や構築


専門性の高い能力を持った人材を雇用したいのはどこも一緒ですが、異なる分野の専門性を求めてしまっています。
僕がこの求人を見たら「経理経験もあり、財務経験もあり、部署横断で会社の仕組みを構築する事ができる人か。かなりハイレベルな方を求人している。」と思ってしまいます。

もちろん「提案ができる人材」が欲しいという事だとは思いますが、基本的な考えとして、現場の意見を吸い上げて改善していくのは相当高い役職の方じゃない限りできない仕事です。
そういう事ができる一般社員レベルの方という人材はめったにいるものではありません。

・DX推進も経理にさせようとしている

営業が複数名いる場合、日々の交通費精算などの効率化のため、ツールの導入やフローの改善などを検討する場面もあります。
そうしたDX推進は大企業から零細企業まで、目下の課題として取りざたされています。

しかし、本来のDX推進は基幹システム(ERP)も踏まえた全社的な統合されたシステムの導入でなければなりません。

こうした点を見落として勘違いしてしまっている企業の経理人材の求人広告には、下記のような文言が見受けられます。

・オペレーションの改善提案やそれに伴うツール導入
・デジタル化による業務改善

本来であれば、PC周りの管理をしているような「情シス」と経営層が協力し、各部署にトップダウンでデジタル化の推進を行っていくべきです。
そうでなければ、企業として全体最適とならず、部分最適化のための部署間の対立や摩擦を生みかねません。

そもそも、ツールを導入したらその使い方を誰かが教えなければなりませんし、場合によっては社内用の操作マニュアルなども作成する必要があるでしょう。経理担当者はITツールの担当者ではないため、ITツールに強くメンバー教育にも長けている担当者が必要になると思います。

はい。ここでも「提案ができる人材が~」という人事の方の声が聞こえます。
しかし「提案したら作業もすることになるんでしょ?」と現場の方は思っているのではないでしょうか。一般的には提案した方が努力して決裁をとり、推進していくことになってしまいます。

●業務に対して報酬が少ない

経理の業務内容を理解していないだけでなく、その重要性を軽んじているかのような求人情報も見受けられます。

 ・重要な意思決定支援を要求している

経理の出すレポートは、経営の意思決定に必要不可欠なモノです。
しかし、レポートを見て意思決定を下すのは経営者の仕事です。

「提案が欲しい」「現場の声が聴きたい」などといった声が聞こえますね。

しかし、経理の仕事はあくまでも「管理」であり、決定ではありません。

なぜ原価が上がったのか、販促費の費用対効果はどうだったかなどは、それを実施した各部署から吸い上げて方針を決定すべき事項です。

例えば求人情報に下記のような文言を乗せている場合、注意しましょう。

・経理財務・法務・労務などの専門性高い領域での連携
・監査対応

監査対応や法務労務などは相手が弁護士・公認会計士・社労士などの専門職の方になるため、対応する側としても一定の専門知識が必要になります。

これらを一般社員に求めるのは酷というものです。そんなことまでできる知識や経験がある人材ならば、ぜひ部長級の役職を与えましょう。

・給与の幅が大きい

上記のように重要性や適正な報酬を勘違いしている企業の求人では、条件の年収の幅がかなり開いていることがあります。
400〜900万など、倍以上の開きがあることも珍しくありません。

皆さんも「この差は?」と思われる方も多いのではないでしょうか。
400万円の方は〇〇ができる。
900万円の方は▲▲ができる。といった基準がなく採用する人によって決めるのだと思います。

当然、監査対応ができるほど自社のビジネスに精通し、財務会計・管理会計の専門知識もある方ならば、900万円程度の報酬は必要でしょう。
しかし、そうした人材は最低でも課長や部長といったポジションでなければ応募してきてくれないのではないでしょうか?

●採用者のキャリアパスに無関心

経理を含むバックオフィスは、基本的に収益を上げる部署ではないので、「コストセンター」などと揶揄されます。
確かに、バックオフィスの生産性は、一人当たりの処理量と正確性であることは疑いようがありません。

「コストは圧縮するもの」という考えをもった経営層ならば、経理担当者の採用には慎重になるものです。

しかし、前述のとおり一定の専門性がなければ勤まらないのが経理という仕事です。
ただの圧縮対象であると勘違いしている企業の求人には下記のような文言が見受けられます。

・バックオフィス業務は自動化できるものは自動化していく
・業務量の増大に対して安易に人を増やさず、アイデアで解決できる人材

人を増やすという選択肢はないということなので、採用者がこれから出世していき部下を持つようになることを期待していない(というかそうなってほしくない)と書いてあるわけです。

再三申し上げていますが、「アイデアで解決できるような有能な人材」が、そんなところに就職を決めるでしょうか。

■頼れる経理はBPOで解決

だからといって、これまで見てきたように優秀な人材を”高いコストで雇う”というのも難しい話です。

そこで検討したいのがBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の導入です。

●BPOでコスト削減

採用するにもコストはかかっています。通常であれば、広告費・HP運用費・紹介料などがかかり、それだけで数百万円のコストがかかっているものです。
それだけではありません。人を雇えば給与以外にも様々なコストが発生します。一例をあげれば保険料・税金・備品等です。特に保険料や税金は社員と会社の折半という事になっていますので、採用コストも含めれば、従業員を雇うのは給与の倍以上のコストがかかることになります。
それが毎月・定額でかかってくるのです。

BPOであれば、こうした費用負担からの解放だけでなく、既存の人材を「求めていた人材」へと章かさせられる可能性があります。

経理業務には記帳や振り込みといった毎月発生するルーティーン業務と、経営レポートの分析といった高い創造性・専門性が求められる非ルーティーン業務に分けられます。

例えば記帳代行サービスを使って集計作業から解放されれば、その分コアなアイデアが必要な業務に時間を割くことができるようになるのです。

しかもその導入には紹介料といった費用は不要です。従業員の給与以下で作業のアウトソーシングが可能になります。

「経理人材の求人募集から見た企業の勘違い」いかがだったでしょうか?

ipartnersでは、ここであげたルーティーン可能な業務を洗い出し、「アイデアで解決できるような有能な人材」の時間を確保するためのお手伝いができます。

もし経理担当者の不足でお悩みの方がいらっしゃいましたら、無料相談も実施しておりますので、お気軽にご連絡ください。